☘ ドライバーの怒りと悲しみが速度超過につながる⁉ ♠
☘ ドライバーの怒りと悲しみが速度超過につながる⁉ ♠
ドライバーなら、クルマを運転する時の感情が運転操作に影響することを、体験的に理解しているのではないでしょうか。
例えば、怒りやイライラしたまま運転すると、運転も荒っぽくなり、事故につながりかねないと感じるドライバーは少なくないはずです。しかし、感情が安全運転に及ぼす影響を科学的に証明されたことはなかったようです。
広島大大学院 人間社会科学研究科 経済学プログラムの角谷教授率いる研究チームは、タクシー会社、全国健康保険協会(協会けんぽ)広島支部、TDK株式会社、日本電気株式会社(NEC)の協力を得て、ドライバーの感情が安全運転に及ぼす影響について調査を実施しました。
具体的には、タクシー運転手から無作為で15名を抽出し15日間にわたって勤務中の生体データと運転記録を収集し、収集した生体データと運転記録を照合。さらに、生体データを用いて感情を分析できる専用アプリケーションを用いて、タクシー運転手の感情が運転操作にどのように影響したかが分析されました。分析は、あらかじめアンケートによって確認されたタクシー運転手の年齢、学歴、年収、婚姻状況などの社会経済変数がコントロールされた上で実施されました。
怒りと悲しみの感情はスピード超過のリスク上昇
同分析によると、ドライバーの感情と運転速度について、以下の5点が明らかになったとそうです。
●ドライバーの怒りと悲しみの感情はスピード超過のリスクが上がる。
●ニュートラルな感情はスピード抑制に寄与する。
●幸福感やリラックスなどの感情はスピードに影響しない。
●乗客を乗せて走る時間の長さや、実験期間中の売り上げの大きさはスピード増の要因になる。
●個人収入や世帯資産の大きさおよび勤務時間の長さはスピード減の要因になる。
つまり、怒りや悲しみの感情は、走行速度を速くさせる傾向があること。ニュートラルな感情は、走行速度を遅くさせる傾向があることが科学的に証明されたのです。
なお、幸福感やリラックスなどの感情は影響しないという。
今回の研究はタクシードライバーが対象ですが、マイカードライバーでも同様な結果になるのかは、今後の研究発表を待ちたいですね。
富士原