マイカー通勤と会社リスク
マイカー通勤と会社リスク
皆さんの会社では、マイカー通勤を認めていますか?
認めている場合は、マイカー通勤の管理をされていますか?
マイカー通勤にかかわる会社のリスクとその対策をご案内します。
マイカー通勤にかかわる会社のリスク
《法的リスク》
社員がマイカー通勤途中に事故を起した場合、会社は使用者責任や運行供用者責任が問われるおそれがあります。
マイカー使用が通勤だけで業務使用が一切ない場合や、マイカーの維持費等の負担を会社がしていない場合は、賠償責任が会社に発生することはそれほどないといわれています。
けれども、業務での使用を上司が黙認していたり、通勤手当でガソリン代相当額を支給していた場合に会社責任を問われた裁判例があって、会社に責任がないと言い切ることは難しいです。
マイカー通勤の事故で会社責任を認定した判例 〔神戸地裁判決 平成10年5月21日〕
社員がマイカー通勤途上、一停止違反で交差点に入り相手車と衝突事故を起した。
会社はガソリン相当額を通勤手当として支給していて、社員は通勤以外にはマイカーを使用してなかった。
社員は、会社指示によりマイカー通勤していたため会社の具体的指示命令下に行動していたとし、マイカー通勤と会社業務間に強い関連性があるとして会社に運行供用者責任を認めた。
《その他リスク》
会社に責任が及ばないケースでも、下記のリスクを避けることは難しいです。
◆労働力の喪失
けが等による長期欠勤や、無保険や不十分な保険補償加入の場合には被害者との示談や賠償金準備のために時間を取られ、業務に支障をきたす可能性があります。
◆訴訟リスク
事故を起した従業員に賠償能力がなかった場合、会社に賠償責任が無くても被害者次第では無理と知っていても会社を相手に損賠賠償訴訟を起こすおそれがあります。
◆風評リスク
「あそこの社員は事故をしただけではなく、賠償金を払えず勤務先の会社が訴えられているらしい」そんな風評は会社の社会的信用に著しく悪い影響を及ぼします。
会社リスクの防衛策
1.〔マイカー通勤は許可制〕マイカー通勤対象者が誰でどの車両なのかを会社が把握しておくことが大事です。
2.〔会社が定めた基準以上の条件での自動車保険加入の義務付〕マイカー通勤規定等で充分な保障額の自動車保険加入基準を設定し、必ず加入基準以上の内容加入の徹底。
3.〔保険加入状況の確認〕自動車保険加入は、証券の写しを提出させ、会社が加入内容をチェックすることが必須です。
4.〔申請内容の確認は毎年〕自動車保険の更新は1年ごとの更新が基本です。更新忘れや未払いによる保険解除のリスクを避けるため毎年確認をすることが必要です。
会社がマイカー通勤者に保険加入を義務付けるのは最高裁でも認められています。
これまで、マイカー通勤事故のリスクに関して書いてきましたが、業務で車両を使用する社員も併せて運転免許証の確認も定期的に行うことにより、免許の停止・失効による無免許運転も防止していきましょう。
営業課 神谷